「赤い」ダイヤ(気ままにブログ)

熊谷質店

万華鏡的に美しいダイヤモンドを見て。。。

「赤い」ダイヤ (2012/7/4)

今まで、数多くのダイヤを見てきましたが、今日は一風変わったダイヤを見ました。
1ctちょっとのダイヤなのですが、中に赤い内包物が無数に見えます。ダイヤには、生育環境が類似するガーネットの結晶が内包されることがあるんですが、たいていの場合、結晶の形が分かるほどはっきりとはしていません。せいぜい何か赤いのが入っているなあと思うぐらいです。しかし、このダイヤの中の結晶はコロンとしていて、結晶面がよく分かるほどはっきりとしています。しかも、キューレット(ダイヤの一番底の尖った部分)の近辺にあるため、周りのファセットに反射してしまい、結果、赤い結晶が円を描くように無数にダイヤの中に見えるようになっています。その様子は他の内包物の見え方と重なりあって、まるで万華鏡に映し出されたかのようにも見えるのです。

聞けば、他店にもっていったところ良く分からないと言われ、当店にいらっしゃったようですが、確かにこれは、知らない人が見れば驚いてしまい、ダイヤとは思えなくなるかもしれません。

ダイヤのランク的に言えば、このような内包物は透明度を損なう大きな原因となりますから、ない方がよいわけです。しかし、それはそうとして、こんな「見事な」ダイヤはめったに見ることができません。ダイヤモンドが地中深くで、他の結晶を取り込みながら、長い年月をかけて作られていったということがうかがい知れます。宝石というのは、本当に自然が作り出した奇跡の産物なんだなあと改めて感じてしまう瞬間でした。