中古相場・2013秋(気ままにブログ)

熊谷質店

今年の相場はちょっとすごいかも!

中古相場・2013秋 (2013/10/30)

もうすぐ11月です。すっかり寒くなってきましたね。ハナミズキやヤマボウシはすっかり紅葉し、サクラやケヤキもだいぶ紅葉してきました。

さて、今年もいつの間にか残すところあと2ヶ月あまりとなりました。今年は中古相場が大きく動いた一年でした。その理由のほとんどが為替の大きな変動によるものです。少し早いですが、この1年間の為替の動きなどを見ながら今後の相場について考えてみたいと思います。

アベノミクスと為替相場

我々が扱う金やプラチナ、宝石類、そしてブランド品というのはほとんどが輸入品ですから、為替の変動が相場に大きく影響します。ブランド品に関しては、ヨーロッパ製のものがほとんどですから、ドルに対してだけではなく、ユーロに対しての為替相場も重要です。

まず今年はなんといってもアベノミクスによる急速な円安から始まりました。下の表(ドル/円)を見るとわかるように、去年の今頃は1ドルが80円程度でした。それが去年の11月に衆議院が解散され、自民党が政権を取ることが確実な情勢になって以来、右肩上がりに円安が進行し、5月には1ドル100円を超えるまで上がりました。ここ最近は97円~98円くらいとやや円高に戻したところでようやく落ち着いた感じですね。(参考までにユーロ/円のグラフも載せてみました。)

ドル円チャート
ドル/円 ユーロ円チャート
ユーロ/円

円が一方的に安くなっただけなので、ドル/円、ユーロ/円ともほぼ同じ動きを見せています。ユーロに関しては昨年は100円を切るところまで行きましたが、今は135円ほどです。実に3割以上も値段があがった計算です。実際、ヴィトンは今年2回の定価改定を行い、合計すると、バッグが3割近く、財布類でも2割ほど定価が上がりました。そして他のブランドも同様に為替変動による値上げを行いました。これは、世界中のショップでの値段差が生まれないようにするためで、これまでも為替が大きく動いている時によく行われてきたことです。

中古相場の急上昇

為替が円安にふれると、ほとんどが輸入品で構成されている中古品の相場も高くなります。日本の中古市場は品質も高く、中国やアジアの人たちには大変人気があります。また、時計などの中古相場も国際的に安定したものがありますから、円安になれば為替の分だけ国内の値段も上がります。そうしなければ品物はすべて海外に流れることになるでしょう。

というわけで、特に時計を中心に、今年の相場というのは空前の相場であるといえるかもしれません。長い間商売をやってきた感覚でいくと、ロレックスなどは、あれっ値段あっているのかな?って思うくらい高いですね(^^;)。ただ、為替的に見ても6月頃がピークだったような感じもあります。その後は相場も高値圏を維持しつつも停滞している感じに見えます。今後どうなるのか分かりませんが、ちょっと高値すぎる売り買いが行われていて、品物の流れがもうひとつ悪いのではないかと思います。国内の景気回復の速度よりも早く為替の影響による値上げが行われていて、品物を買いたいと思っている人には手が出しずらい状況になっていますね。そのため、中古市場はそれほど品物が売れているわけではないのに、品不足という状態に陥っております。

ところで、先のグラフをよく見てみると、ドル/円はほぼ横ばいの状態ですが、ユーロ/円はじわじわと値段が上がっております。ユーロ高の流れになると、ブランド品はさらに定価が上がる可能性があります。ただ、これ以上値段が上がると、品物はますます売れなくなってくるのではないかということもあります。いずれにしても中古市場は、しばらくは慢性的な品不足の状況の中で、相場は高値のまま推移しそうですね。

(2013/11/8 追記)
日本ロレックスが11/15より、1割ほど国内定価を値上げすることを発表しました。正規代理店でのご購入を予定されている方は、それまでの間にご購入された方が良いと思います。ただし、人気のモデルなどはすでに品薄のようですね。。。これを受けて、現在ロレックスの中古相場はさらに値を上げております(^^;)。

金相場

金相場も激動の1年となりました。米国の量的緩和縮小が年内にも始まるのではという観測のもと相場が急落しました。現在の金相場は、1年前と比べると、350ドルほど、率にして2割以上値段を下げています。ところが日本では年初からアベノミクスによる円安が進んだ関係で1年前の値段と今の値段との差がそれほどありません。為替が逆に2割ほど違うためですね。下の図の赤い線が国内の純金インゴッドの小売価格の推移です。青い線は海外での相場の動きを表しています。(都合上、去年の12/5からのデータとなっています)

金相場チャート
金小売相場の推移

日本での値段のピークは為替との兼ね合いで、2月と4月にありました。為替相場は4月以降はそれほど変動しておりませんので、その後の国内の金相場は海外の相場とほぼ同じような動きをしております。4月と6月に一気に値段を下げた後、現在では米国の量的緩和縮小が先延ばしになりそうだという観測があり、だいぶ戻している状況ですね。

今日現在の純金インゴッドの基準価格は、4,400円ほどです。今年1番高かったのが4/10の5,255円、一番安かったのが6/28で3,978円です。高かったときと比べるとだいぶ差があるものの、今後、米国の量的緩和縮小が開始されるタイミングで金相場は下落しそうな様子の中では、なかなかの高値だと思います。

最近の金相場は早い話、アメリカの経済が良くなると下がり(量的緩和策が縮小されるから)、中国の経済が良くなると上がる(金を大切にする中国での購買力が上がるから)といった構図です。今年は、アメリカの経済が少しずつ良くなり、中国の経済成長が少しずつ鈍化しているといった状況の中で金相場が下がってきたわけですね。さて、今後どうなっていくのでしょうか。個人的には今後も少しずつ下がっていくのではないかと思っているのですが、為替がもう少し円安の方向にすすめばそれを打ち消す力になりますしね。専門家の間でも意見が分かれている状況で、なかなか難しいです。もっとも、それが分かったら誰も苦労しないのですが(^^;;)。