今回は矢大臣山を紹介します
いわきで一番高い山はどーこだ?なんて言われると、あれっ、どこだったかなあ?などと一瞬考えてしまいます。答えは、そう、矢大臣山(やだいじんやま)です。矢大臣山は小野町や田村市との境にある山ですから、いわき市という実感が私にはあまりないのですが、山頂はいわき市にあるため、いわきで一番高い山といえば、やはり矢大臣山ということになります。標高は965m。1,000mに満たない山ですが、それでも小さい頃からよく知っている水石山(735m)や閼伽井岳(605m)と比べるとだいぶ高いです。ちなみにいわきで2番目に高いのは、すぐ隣にある鬼ヶ城山で、標高は887m。こちらはキャンプ場などで有名ですよね。
矢大臣山にはまだ登ったことがなかったので、梅雨の合間を縫って、7月6日に登ってきました。登山道は2つあるようですが、今回は小野町側から登るルートを選択しました。以前登った人に聞くとこちらの方が雑木林や野草などが楽しめるということでしたので。
小川、江田方面から川前を通って、小野新町に向かう道沿い(県道41号線)を進んでいくと、夏井駅を過ぎて小野新町に着くちょうど中間あたりに矢大臣山方面(あぶくま洞方面)へ分岐する道がありますので、そちらへ進みます(手前の夏井駅からの道でも行けたようですね)。所々、矢大臣山登山口の案内がありますから、それにしたがって進んでいくと、最終的に車1台分しか通れない細い舗装路に行き着きます。この道をしばらく進むと、農作業小屋の前あたりで舗装が終わり、その右手に車が3、4台ほど停められそうな少し広いスペースがあります。よく見ると「臨時駐車場」の小さな看板がありますから、ここが一応登山者用の駐車場となっているようです。この先も小型のRV車なら行けそうですが、徐々に道が悪くなりますから行かないほうが無難かと思います。
駐車場に車を停めたら、林道歩きのスタートです。車のタイヤ跡を歩いていくわけですが、今や入っていく車もほとんどないようで、雑草だらけで道も荒れており、中々歩きずらいです。ただ、道路脇にはとにかくヤマグワの木が多くて、しかもこの時期は実の方がちょうど完熟しておりまして、まるで食べ放題な感じです(^^)。クワの実は完熟するまではただすっぱいだけですが、完熟するとさくらんぼのような味になって結構美味しいです。赤い色から完全に黒い色に変わったものが完熟したものです。
マタタビの樹も結構目に付きました。この時期は花のそばにある葉っぱが白くなっていて独特の景観です。花にはモンシロチョウが集まってきていました。しばらく進むと、分岐路に出ます。案内どおりここを左へ進むと、この先からは落葉樹林の中の登山道となります。登山道は林道とは雲泥の差で、とても歩きやすいです。道も岩などはなく、赤松やミズナラなどの落ち葉が敷き詰められており適度に柔らかくなっています。道幅も広いので、夏場は暗い落葉樹林内ですが、小さな子供でも安心して歩けると思います。静かな木陰の山道には鳥や虫の鳴き声のみが響き渡り、心地いいです。
樹の所々に樹種名などが書いてあったりもして、結構勉強になるかもしれません(^^)。実際、樹の種類も多くて、一番目に付いたのは、アカシデやイヌシデなどのシデ類、ミズナラ、ウラジロノキ、ヤマボウシなどですが、オニグルミ、ミズキ、ウリハダカエデ、アオダモ(コバノトネリコ)、アオハダ、シナノキなどなど他にも色々な種類の樹がありました。ちょっと面白い名前でいくと、ヨグソミネバリ(ミズメ)などもありました。この樹は皮目が横方向にあり、一見サクラの仲間かなと思ってしまいますが、実はカバノキの仲間であり、サクラとは何の関係もありません。そして幹に傷を付けると、何とサロンシップのにおいがします!
唯一の急登といいますか、急な登り階段を過ぎると、長持石という大きな岩があります。道中、地元の小学生が作った案内板が所々にあり、なかなか元気づけられます(^^)。
さらに、しばらく行くと、水飲場があります。水飲場は道から外れて少し下ったところにありますが、竹筒からはよく冷えた水が流れておりますから、時間があれば立ち寄りたいところです。ここまで来れば頂上はあとわずかです。
このあたりには、これまでは見られなかったブナの樹が結構見られるようになりました。また、こんな野草が群生していました。アカショウマというらしいですね。
急に道が開けると、芝生が敷き詰められた広大な頂上部が姿を現します。頂上は電波等などが立っていて景観を損ねているのですが、ふと振り返ると、道中では一度も見ることができなかった素晴らしい眺望が眼下に広がっています!駐車場からここまで1時間10分ほど。山登りにしては短い時間ですが、それでも頑張って登って来た甲斐があったと思わせる瞬間ですね。
頂上には展望台もあります。展望台の方へ向かって歩いていくと、先客の方々が一組だけいらっしゃいました。そしてショッキングな光景が。。。なんと車が止まっている(^^;)。実はもう1つの登山道の方は、電波塔を管理する人たちのために、車が通れるよう舗装された道が山頂まで続いていたようでして、けれどもまさか一般の人までも車で上まで来れたとは。。。静かな山の頂上で車のエンジン音を聞くのは何となく残念なことですね。
展望台に登ってみると、さらに360度眺望が開けます。反対側にはかなり大規模な風力発電の姿も見えました。
ツツジの時期はとっくに終わっていましたが、頂上では植栽されたと思われるヤマボウシがツートンカラーのきれいな花を咲かせていました。その他ツルアジサイやこれもぎりぎりのタイミングのアヤメなどが花を咲かせていました。
矢大臣山は、道中、小野新町小6年生が作った案内板を見ながら歩いたせいか、やはり何となく小野町の山なのかなという感じもしましたが(^^;)、とにかくいわき市最高点からの眺望は最高でした。今回利用したルートは、上り下り合わせて2時間程度の行程ですから、頂上でゆっくり弁当を食べても3時間もあれば戻ってこられます。休日、天気の良い日にハイキング気分で出かけるのにもいいところだなと思いました。ただし平から車で行くのには、結構時間が掛かりましたが(^^;)。