今年の金相場をどう推移していくのでしょうか。
2015年がスタートしました!本年もどうぞよろしくお願いいたします!
昨年に引き続き、今年もこのタイトルでブログをスタートしたいと思います。
さて、一年前に書いた記事を改めて見直してみると、昨年一年間の金相場の動きというのは、昨年1月時点での予想とずいぶん違っていますね(^^;;)。予想外に安定していて、定期的に上がり下がりを繰り返しながら、国内相場だけを見れば、少しずつ値を上げていった感じです。
リーマンショック後に発動されたアメリカの量的緩和政策が終了したのは大方の予想通りで、これによりこの数年間、安全資産として値を上げてきた金価格は徐々に適正な値段(おそらく1,000ドル~1,100ドルぐらい)に戻っていくのではないかと思っていたのですが、実際には12月末の時点で1,180ドル前後と、一昨年末と比べてほとんど変わらない値段で推移しました。その間、日本では消費税が増税されたことで、金価格も自動的に3%値が上がり、さらにアメリカの量的緩和策終了が発表された直後、逆に日銀が追加で大きな量的緩和策を発表したことで、今度は一気に円安が進み、年末の時点で1ドル120円台の水準にまで円相場が下がりました。これらの影響で国内金相場は、年末の時点で純金基準価格が4,900円ほどとなり、結果的には1年間で600円以上の値上がりとなりました。
結局、2014年は海外では大きな金相場の値動きはなく、日本では政策の影響が出て金相場が15%ほど値上がりした計算になったわけです。さて、2015年はどのような値動きをしていくのでしょうか。年初からこの記事を書いている今日の時点までで、実は金融市場ではすでに結構大きな動きが出ています。
まず、昨年後半から続いている原油価格の下落が一向に止まらないことによる影響です。原油は、現在1バレルあたり46ドル台の値段をつけておりますが、ほんの半年前までは100ドル前後の値段で安定しておりました。わずかの間に、半値以下にまで値を下げてしまったわけです。ガソリンスタンドでもレギュラーガソリンが1リットル130円を切る値段になってきましたよね。原油価格が安くなることは、日本経済にとっても我々の家計にとっても(^^;)、エネルギー資源の大部分を輸入に頼っているわけですから、プラスの要素が大きいのですが、産油国には深刻な影響が出ております。とりわけ大国であるロシアなどは大きなダメージを負っており、ロシアの通貨であるルーブルは、原油価格の下落に比例して急落している状態です。このような、ある種異常な経済情勢下では安全資産である金の相場が上がります。
ドル/ルーブルの半年間の値動き
1ドル35ルーブルほどだった相場が、現在1ドル65ルーブルにまで下がっています
(グラフ上ではドルが基準になっているので上がっています)
また、今日はスイスの中央銀行がスイス・フランの対ユーロに対する上限を撤廃することを発表したことを受けて、国際的な為替相場に大きな値動きが出ております。これまでスイス中央銀行はユーロ買いを続け、ユーロ相場の下落に歯止めをかけてきたわけですが、上限を撤廃するということはこれをやめるということなので、一気にユーロ安、スイス・フラン高となり、それ以外の世界の為替相場にも大きな影響が出ました。不安定な為替市場から安全性の高い金に投資資金がシフトし、金価格は昨日よりも30ドル以上も値を上げ、一気に1,260ドルを超える値段にまで達しております。日本では、為替の世界では安全資産といわれる円が買われていて、円高となっている関係で、海外ほど金価格が上昇しておりませんが、それでも今日は5,000円を超える値段が付いております。
ということで、年初からすでに金価格はかなり値上がりしていて、今も高い水準の値動きが続いております。では、今後一年間、どう値動きしていくのでしょうか。いろいろな影響要素がありますが、マイナス・ファクターから見ていきましょう。
マイナス・ファクターとして一番に上げられるのがアメリカの金利引き上げです。昨年アメリカでは量的緩和政策が終了し、今年中にさらに金利の引き上げが行われるのではないかといわれております。金利の引き上げが行われると、金利を生まない金からは資金が流出し、金相場は下がることになります。ただ、アメリカの経済情勢は改善はしているものの株価ほどは良くなく、どうも難航しそうな雰囲気です。また、金利を引き上げると、ドルの価値が高まりますから、ますますドル高・円安の為替相場となり、国内金相場はこの部分ではプラスに働きます。これらが打ち消しあう形になりますから、国内での影響は比較的小さくなりそうです。
もう1つのマイナス要素として、金需要を支える中国経済が失速していることによる値下がりの懸念ですが、これも現状ではそれほどの落ち込みようではなく、またもう1つの金消費大国であるインドの需要はまだまだありそうですからそれほど心配することはないのではないでしょうか。
逆にプラスの要因としては、為替的には120円ほどの円安状況がしばらく続きそうなことと、高騰する金採掘コストの問題などがあります。金価格が一気に下がった場合、採掘コストを下回ってしまうため、金の生産が縮小されることになってきます。そうなると今度は供給が減って値段は上がってくることになります。
国内金相場は、現在非常に高値水準にあるため下落が心配なところもありますが、世界の経済情勢はそれほど安定的ではなく、何か不安定要素が出てくるたびに金価格が持ち直すといったことが続いております。結局のところ、今年も国内金相場は下がりそうで下がらない、比較的安定した高値水準を維持していきそうなそんな情勢になるのではないでしょうか。