時計界の王者、ロレックス

熊谷質店

今年もロレックスが熱いです

進化するロレックス(2015/9/30)

毎年桜が咲く頃に、スイスでは新作時計の見本市ともいえるバーゼル・フェアが開催されます。ここで発表された時計は、大体その年の夏から秋にかけて実際に発売され、店頭にお目見えすることになります。つまり、ちょうど今頃は各社とも新作時計が出揃って、秋から年末商戦に向かって賑やかなラインナップとなるわけです。

さて、今回は今年のバーゼルで発表され話題になったロレックスの新しいムーブメントCal.3255について紹介します。結構、いやかなり凄い進化なんです、これが。

Cal.3255
ロレックスの新作ムーブメント、Cal.3255

Cal.3255は、日付と曜日表示があるオイスター・パーペチュアルシリーズの最高峰「デイデイト」用に開発された新しいムーブメントです。ロレックスはこのムーブメントの製作にあたって、新たに14個の特許を取得し、使用するパーツも9割以上を変更したといいます。まるでイチから開発し直したような気合がこもったムーブメントですね。

特に今回、機械式時計の精度をつかさどる、いわば時計の心臓部ともいえるエスケープメント(脱進機)に手を入れてきたところが凄いです。この部分(スイスレバー脱進機)はすでに完成された技術ともいえるわけで、過去数十年の間どのメーカーも大きく手を入れていませんでした。ロレックスはこのスイスレバー脱進機のエネルギー伝達の効率を改善する新たな技術を開発し、その結果15%ほど効率を向上させました。15%というと一見大したことなさそうに聞こえますが、実際にはこの効率の向上により、パワーリザーブの時間が10時間以上も増えることになります。

脱進機
(左)一般的な脱進機 (右)Cal.3255の脱進機
極限まで無駄な部分をそぎ落としたような外観ですね

また、ぜんまいを収納する香箱の壁の厚さを薄くして、香箱自体の大きさを変えないでより多くのぜんまいを収納できるようにしました。これによりやはりパワーリザーブの時間が10時間以上増えております。脱進機の分と合わせると、これまで48時間だった駆動時間が一気に70時間と飛躍的に長くなりました。これで金曜日の夜に腕から外した時計を、月曜日の朝、時間調整不要ですぐに身に付けられるようになったわけです。この3日間のパワーリザーブ機能というのは、近年、流行っている機能であり、他のメーカーでもぜんまいをより多く使うことによって実現させていますが、これを時計内部のスペースを増やさずにスマートに実現させてしまうところが、さすがロレックスです。

香箱
Cal.3255の香箱

そのほかCal.3255では、パーツの素材や構造なども改良し、耐磁性や耐衝撃性なども向上しております。ローターの巻上げ効率も向上しているようですね。

ちなみに、エスケープメントが大きく変わったといっても、精度に不安はありません。それどころか、これまで採用してきたクロノメーター規格のさらに上を行く独自の厳しい規格を満たしており、精度の高さも折り紙つきとなっております。

唯一の不安材料といえば、高い技術が投入された分、メンテナンスするときにはこれまでよりも多くのお金がかかってしまうのではないかということですが、取り越し苦労でしょうか(^^;;)

最後にCal.3255が搭載された時計を紹介します。現在デイデイトは36mmと40mmのものとがあり、現状では40mmモデルのみCa.3255が搭載されております。素材は現在のところYG、PG、WG、PTの4種類のようで、型番はそれぞれ、228238、228235、228239、228206となっております。118238のように型番が118で始まるものは現行の36mmサイズ、218238のように型番が218で始まるものは41mmサイズで前型のタイプのものとなりますから、Cal.3255搭載モデルをご購入の際には、必ず228で始まるものをお選び下さい。

といっても、定価で300万以上する時計ですから、我々庶民には中々手が出せる値段ではありませんが(^^;;)。

デイデイトデイデイト
デイデイト40 (左)PG: 228235 (右)PT: 228206

余談ですが、今回デイデイト用のムーブメントに新型が出たということは、今後デイトジャスト用の新型ムーブメントなども出てくるのでしょうか。それとも、フラッグシップのものから新技術を投入していくとしたら、次はスポーツ系の最高峰、デイトナあたりになるのでしょうか。もしそうだとすればデイトナのサイズがいよいよ一回り大きくなる可能性もあったりして。

確実に進化していくロレックスに今後も目を離せません。