いわきの名峰、二ッ箭山

熊谷質店

初めて二ッ箭山に行ってきました

二ッ箭山 (2016/6/22)

いわきの名峰といった時、真っ先に名前が出る山、それが二ッ箭山ではないでしょうか。春のアカヤシオが特に有名で、その時期には大勢の登山客で賑わいます。とはいえ、地元の人でも案外登ったことがない人も多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人でして、今回初めて登ることができました。噂通り、鎖場が多く、なかなかスリリングな山でしたが、登山コースもバリエーションに富んでいて、また登ってみたくなる山ですね(^^)。

二ッ箭山へのアクセスはいたって簡単です。平からでしたら、国道399一本ですね。小川の分岐で川内村方面へ行けば、道沿いに大きな登山者用の駐車場があります。常磐道ご利用の他の地域の方でしたら、いわき中央インターを下りたらそのまままっすぐ直進し、好間の工業団地を抜けて国道399号線にぶつかるまで進んでください。そこを左折して、15分くらい車を走らせれば、川内村方面への分岐の案内が出ますから、そこを右折するだけです。5分くらいで道沿いにある駐車場に着きます。

さて、この日は朝9:00前に駐車場へ着きましたが、車が7,8台くらいは停まっていましたね。日曜日だからもうすこし人がいるのかなと思いましたが、その全てがいわきナンバーであることから地元の方しか来ていないようです。震災前は他の地域からも大勢の方がいらっしゃっていたはずの山ですから、何だか寂しい気もします。時期が悪かったのかな?

駐車場 登山地図
駐車場(下山後に撮影) / 登山地図

駐車場には簡単な山の地図、登山計画を提出するポストなどがあり、いわきにはあまりない本格的な山登りを感じさせる作りです。綺麗なトイレもありました。山の地図が描かれた大きな看板を見て、今日歩くコースを再確認し、いよいよ出発です。駐車場から1分くらい国道沿いを道なりに歩き、「二ッ箭山入り口」の看板から右手には入ります。しばらくすると舗装された道が林道へと切り替わり、本格的な山登りが始まります。どこの山もたいていそうですが、最初は静かに杉林を歩くことになります。

登山道開始 杉林
登山道の始まりと杉林

ふかふかの杉林を歩いていると、いきなり地図にはない分岐点が。しかも分岐する道どちらにも二ッ箭山と書いてあるし(^^;;)。自分は今回コースの左端を進む尾根コースを登ることに決めてあったので、迷わず左方向へ進みます。しばらく歩くと、綺麗な沢に出ました。沢からまたまた地図にない分岐点が(^^;;)。ここは尾根コースと書いてある方へ進みます。でも地図では尾根コースへの分岐はずっと先のはずなのですが。。。

分岐1 分岐2
地図にない分岐点

分岐点の案内をよく見ると、左手には沢巻道と書いてあります。おそらく、沢登りをしなくても済むよう、ここは後から作った道なのでしょうね。ここから、沢を見下ろすような位置にある道をしばらく歩きます。このあたりは広葉樹林が広がり、起伏も少なく快適です。山の斜面にはウツギがまだ咲いていました。それとタマアジサイでしょうか、大きな葉があちこちで目につきました。花期は8月頃ですから、まだ蕾もできておらずちょっと残念です。あとマムシグサなんかも結構ありましたね。鎌首をもたげた花の姿を見ると、なるほどマムシグサの名も納得です。

ウツギ マムシグサ
ウツギ / マムシグサ

沢巻道をしばらく歩くと、沢沿いの道に合流します。さらに少し歩くと〆張場と呼ばれるところに出ます。ここからは3方向に道が分岐します。尾根沿いを進むルートと沢沿いを進むルート、もう1つは、隣にある月山を経由して二ッ箭山頂上を直接目指すルートです。一般的には尾根沿いのルートから登り、下山するときに月山ルートを使う場合が多いようですね。私も尾根沿いのルートを進みます。ここからは一気に急登が始まります。道も荒れ、時々大きな岩場などもあり、鎖を使うところも出てきます。汗だくになりながら足元を見ると、アカショウマが群生していました。アカショウマは矢大臣山でも結構見かけましたね。

岩場 アカショウマ
岩場 / アカショウマ

胸突き八丁の急登を登りきると、いよいよ尾根にたどり着きます。ここから道は岩場コースと一般コースに分かれます。せっかくだからと岩場コースの方へ向かいましたが、道が分かりづらいです。大きな岩場を1つ越えたところで道がよくわからなくなり、結局脇道から一般コースへ戻りました。一般コースは平坦で歩きやすいです。尾根沿いには、ネジキの花が咲いていました。影になった斜面には、葉緑素を持たないちょっと変わった植物、ギンリョウソウもありました。葉緑素を持たないので光合成はできませんから、栄養は菌類から得ているようです。確かに見た目も生えている場所もほとんどきのこのようですね(^^;)

ネジキ ギンリョウソウ
ネジキ / ギンリョウソウ

しばらく歩くと、鎖場の案内が出てきました。この後、いよいよ有名な30mの鎖場ですね。鎖場を迂回する道もあるようで、女性や子供の場合には迂回路がおすすめのようです。見上げると岩峰がそびえています。あそこに登るのかと思うとちょっと緊張しますね。少し歩いたところに鎖場の最下部がありました。やはり、ほぼ垂直の長〜い鎖場です。考えたらあまり高いところは得意ではないのですが(^^;;)、カメラをリュックにしまい、意を決して鎖場に挑みます。なかなかうまく足をひっかけるところが見つからずかなり戸惑いましたが、ロープを頼りに一歩一歩慎重に進み、何とか登り切りました。登りきったところで下を見ると、ようやく今日初めて出会う登山者が下から勢い良く鎖場を登ってきます。慣れている人はさすがに違いますね(^^)。

岩峰 30mの鎖場
岩峰 / 30mの鎖場

鎖場を登りきると、女体山・男体山、2つのピークのちょうど鞍部に出ます。男体山に登る鎖場は裏側にあるようで、ここからは見えません。すぐ右手にあるのが女体山のこれまた長めの鎖場です。男体山は上級者向けということなので、今回は女体山の岩場を登ることにしました。この鎖場もほぼ垂直な感じですが、こちらの方が先ほどよりも足場があって登りやすい感じがしました。慎重に鎖場を登り、とうとう頂上に着きました!二ッ箭山の頂上は実際には違う場所なのですが、そちらの方は頂上といっても林の中にあって眺望がまるでないので、ほとんどの人は女体山・男体山を目標に二ッ箭山を登ります。登りきったところで振り返ると、お隣の男体山が見事に見えますね!

女体山の鎖場 男体山
女体山の鎖場 / 男体山

男体山の頂上はすごく狭そうですね(^^;;)。高いところが得意な人じゃないと、ちょっと厳しそうです。女体山の頂上の方は、登ってみると案外スペースが広く、お弁当を食べている人もいました。頂上から見る360度の展望は見事です。この日はもやがあってあまり遠くまで見えませんでしたが、天気が良ければ太平洋まで一望できそうです。岩山頂上の限られたスペースですが、ウラジロノキやアブラツツジ、コメツツジなどが元気に根付いていました。

眺望1眺望2
アブラツツジコメツツジ
女体山山頂からの眺望 / アブラツツジ / コメツツジ

しばし眺望を楽しんだ後、下山を始めました。結局ここまで出会った人はわずかに2人。まだ11時頃ですから、これから登り始める方も多いのでしょう。当初の予定では、ここから尾根沿いに二ッ箭山の実際の頂上(最高点)を目指し、月山を経由して降りるはずでしたが、うっかりちょっと長い鎖場を降りていったら、いつの間にか沢に出てしまいました(^^;;)。沢で下りだと、足元かなり滑りそうだなあと思いながらも、元々沢の方もちょっと見てみたかったのもあって、このまま沢コースを下山することにしました。所々に大きな岩などがありますが、沢の水量はそれほど多くないので、普通の山歩き用の靴でも何とか歩くことができました。水がきれいですね!

沢コース1 沢コース2
沢コース

沢沿いには時々少し開けた場所があるので、沢の水を汲んで湯をわかし、カップラーメンを食べました。山で食べるとこれが格別なんですよね(^^)。昼食後、沢をどんどん下っていくと、徐々に鎖場が増えてきました。滑りやすいので慎重に降りる必要があります。沢コースでは、これから頂上を目指す方、何組かとすれ違いました。やっぱりここは下山ルートではなく、登りで利用する方が多いようです。最後の長い鎖場を降りると、横に大きな滝がありました。地図上にもある「御滝」ですね。しめ縄が張ってあり、二ッ箭山が修験者の山であることが実感できます。

鎖場1 御滝
鎖場 / 御滝

ここまでくれば、沢コースもあとわずかです。少し歩くと最初の方にあった沢巻道との分岐点に出ますので、ここから先は登りと同じ静かな杉林の道を歩くだけです。結局、途中、休憩・昼食の時間も含めて3時間ほどで出発点まで戻ってきました。ゆっくり登っても半日もあれば登れるわけですよね。今回、その短い時間の中に岩場があり、沢があり、急な鎖場もありと、他の山では中々味わうことができない貴重な体験をすることができました。今度は秋の紅葉か、やはりアカヤシオの季節に来てみたいですね。女体山から沢の方へ降りる途中で、ヤシオツツジの樹が多く見られましたから、あの辺がきっとピンクに染まるのでしょうね。

二ッ箭山は、標高709.7mの低山とはいえ、鎖場や険しい道が多く、それほど気楽に登れる山ではないですが、山登りの魅力が凝縮した山ですから、体力に自信のある方は是非チャレンジしてみてください。そういう私も、今回は二ッ箭山の頂上そのものには行きそこねてしまったので、もう一度行かなければいけませんね(^^;)。

(注:高いところや鎖場が苦手な方にはお勧めできません。また、絶対に無理をしないでください。)