帰ってきた赤シード(気ままにブログ)

熊谷質店

シードゥエラーの新作、出ましたね!

帰ってきた赤シード (2017/7/4)

ロレックス、スポーツモデルの中でおそらく最も多くの愛好者を持つのが、ダイバーズモデルであるサブマリーナ(通称サブ)ではないでしょうか。そしてそのサブマリーナよりダイビング性能をさらに高めた兄貴分みたいな存在であるシードゥエラー(通称シード)というモデルもロレックス愛好者の中では定番のモデルとなっております。

今年のバーゼルでは、このシードゥエラーの新作が発表されました。シードゥエラーは実は3年前に新型が出たばかりなので、この登場は意外に思われた方は少なくないと思います。ですが、今回の新型では見た目も中身もだいぶ変わりました。下の写真で、左が旧型(REF.116600)、右が今回新しく出た新型(REF.126600)です。

シード新旧比較
左・前型116600 右・新型126600

新型シードゥエラーで大きく変化があった点をまとめると、

ケースサイズの大型化は昨今の他のモデルと同様の流れであるので特筆することはありませんが、サイクロプスレンズが採用されたことには驚きました。

ロレックスのカレンダー付きのモデルには、カレンダー部分に字を拡大して読みやすくするためのサイクロプスレンズが採用されております。これがロレックスのアイデンティティとも呼べるほどの馴染みのあるデザインでもあるわけですが、唯一シードゥエラーにだけは採用されていませんでした。これは、より深い位置まで潜水するための耐久性を確保するため、ガラスを張り合わせた構造であるサイクロプスレンズを使用できなかったからですが、技術の進歩によりこれがついに可能になったわけですね。

しかし、シードゥエラーといえばレンズがつかない小さなデイトが特徴であり、これが好きでサブではなくシードを選ぶ人がいたくらいですから、この特徴がなくなることは結構賛否両論かもしれませんね。

「SEA-DWELLER」の字が赤色になったことの意味は、ロレックスファンの皆様ならご存知のはずです。この新型のシードゥエラーから遡ること4つ前のモデルに1665というものがありました。こちらは1960年代後半から1980年代前半まで生産されていたモデルですが、そのうちの最初の数年に作られたモデルには「SEA-DWELLER」の字が赤色のものがありました。通称「赤シード」と呼ばれるこのモデルは、アンティーク時計ファンの中では人気が高く、中にはかなりのプレミアムがつくものもあります。このことを知っているロレックスファンにとっては、なんともプレミアム感の高いモデルに感じられますよね(^^;)。

今回、往年の名モデル「赤シード」の仕様を取り入れてしまうところに近年のロレックスの潮流が感じられます。昨年発表された新型のデイトナもどこか手巻き時代の昔のデイトナを感じさせますし、それ以前に発表されたエクスプローラⅡやミルガウスなども昔のデザインを踏襲したものになっています。今回も、古いデザインを一部取り入れながら、大型のケースを採用した上で最新の機械を投入しておりますから、伝統に培われた古いものと現在の新しい感覚、技術をうまく融合させた新時代のロレックスらしいモデルとなっているわけですね。

ダイバーズウォッチ・新ラインナップ

最後に新たになった現行ダイバーズウォッチ(カレンダー付)のラインナップをまとめてみました。

シードゥエラーがサイクロプスレンズを採用したことで、見た目の印象がかなりサブに近くなってしまってどうなのかなとも思いましたが、こうして並べてみるとしっくりきますね。今までちょっと異端な存在であったシードゥエラーが、見た目上も完全にサブマリーナの上位機種というポジションになり、ちょっと特殊な存在としてディープシーが君臨するといった感じです。ケースサイズが大きいディープシーには、次の改良でシードゥエラーと同じ新しいムーブが載ってきそうな感じもします。そうなれば、見ため的にも機能的にもダイバーズ3兄弟が完成しますね。勝手な憶測ですが(^^;;)

116610LN
サブマリーナ REF.116610LN
ケース径40mm 300m防水 2010年発売
126600
シードゥエラー REF.126600
ケース径43mm 1,220m防水 2017年発売
116660
ディープシー REF.116660
ケース径44mm 3,900m防水 2008年発売

さて、最後に質屋的視点で考えると気になるのが、2014年に登場しながら、わずか3年で廃盤となってしまった前型モデル・116600の存在です。3年間しか作られていないわけで、普通に考えても本数は他のモデルよりもはるかに少ないはずです。しかも近年ダイバーズ路線にはディープシーも存在する関係で、ノーマルのシードゥエラーを見かける機会がぐっと減ってきていましたので、やはり本数はそれほど多くないと思います。サイクロプスレンズやサイズの大型化を好まず、むしろ伝統的なデザインである116600が欲しいユーザはまだまだいるものと思われます。というわけで、バーゼルでの新型シード発表以来、やはり116600の中古相場が急騰しております。今後もこの状況はしばらく続くと思われますから、116600を買って間もないのに新型が出たと嘆いている方にはきっと朗報です(^^;;)