為替次第か今年の金相場

熊谷質店

以外に安定のプラチナ相場

2024年地金相場やいかに(2024/1/12)

2024年が始まりました。今年は正月早々、能登地方を襲った大地震がありました。被災されている方にはお見舞い申し上げます。寒い季節で大変なことも多いでしょうが、なんとか希望を失わず今を乗り切って欲しいと思います。我々も東日本大震災を経験しておりますが、必ず復興できる日がやってきますから、少しずつ前向きに進んでいってほしいです。

さて、大変久しぶりの更新になりますが、僭越ながら、今年も地金相場の予想をしていきたいと思います。オリンピックイヤーは地金相場が上がるという俗説がありますが、パリ五輪を控えた今年は一体どうなるのでしょうか。

昨年の金相場

まず、昨年の金相場を振り返ってみましょう。昨年1月最初の相場が8,452円だったのに対して、今年1月最初の相場が10,398円でした。実に2割以上の上昇幅となっており、とにかく金相場高騰に沸いた1年になりましたね。この背景にあるのは、世界的なインフレの進行、アメリカの利上げ政策が一服したこと、長引くロシアのウクライナ進行、イスラエルのパレスチナへの攻撃、円安などいくつもの要因が挙げられます。

下のチャート表を見てください。これはある地金商社の純金・小売価格の推移と、海外価格の推移をグラフにしたものです。昨年1年間のものです。

金価格推移
金価格推移

茶色のラインが国内価格の推移、青いラインが海外価格の推移となっております。国内価格はおおむね右肩上がりとなっておりますが、海外価格は結構上がり下がりが激しいですよね。相場の動きが違っている部分は、為替相場が関係しているからです。為替が円安になれば自動的に国内価格は上がりますし、円高になれば下がります。たとえ海外価格が上がっても、円高になれば国内価格はほとんど変わらなかったりするわけです。ちなみに10月初めに海外、国内ともに急落していた金相場が一気に上がったのは、パレスチナがイスラエルに攻撃を開始したことによりますね。このように世界の情勢によって金相場が大きく値動きすることはよくあることです。

今年の金相場

では、今年の相場はこれからどう動いていくのでしょうか。昨年12月4日に最高値を更新した金相場ですが、それ以降はやや値を落とし、ここ1か月くらいはほぼ安定した値動きとなっております。まだまだかなりの高値水準をキープしている感じですね。この間海外相場は値下がりしておりますが、為替が円安になっていることに助けられている状態です。イスラエルの問題がまだ続いていることもあり、海外相場はもう少し下げたところで落ち着きそうな感じがありますが、問題は為替相場ですよね。昨年1月最初の為替相場は1ドル131円ほどの値段でしたが、今年1月現在の為替相場は1ドル145円ほどとなっております。約1割ほども円安になっているわけですから、逆に今後為替が円高に振れる可能性は十分考えられます。そうなると、単純に1割ほど金相場が下落する可能性もあることになります。他国の利上げ政策が一服している現状を考えると、今後はやや円高基調に推移していくことになるのではないでしょうか。

現在、株高などもあって、投資家の資金がそちらに流入することもありそうです。なので、今後上半期くらいはやや金相場が下落傾向になるのではないかと予想します。ただ、そこから先は巻き返しがあるとも見ています。この数年の為替の動きを見ると、ある程度のところで反発が始まり、再び円安基調になってくるのではないかと思うからです。よって下半期は少し上昇基調になってくるのではないかと予想します。

ただし、いずれにしても金の未来は暗いものではないと思います。世界的に財産として最後までみんなが欲しがるのは金ではないかと思うからです。キャッシュレスの時代になり、お札の姿がなくなっていくなかで、目に見える財産としての金の価値はなくなることはないと思います。なので金相場高騰の昨今であっても、あえて手放さず財産として持ち続けることもありかと思います。いつでもちゃんとした値段で売ることはできますからね。今後もインフレは予想されますから、お金に代わる財産としての金の需要は続きそうです。

今年のプラチナ相場

さてプラチナ相場ですが、プラチナは日々の相場変動が金よりも激しいことで知られますが、昨年1年を通してみると、概ね4,500円から5,000円の間で定期的に上下動を繰り返していますね。ある意味安定しております(^^;)。ここ最近の値動きとしては、同じプラチナ族のパラジウムの下落が気になるところですね。一時はプラチナの倍ほどの値段をつけていたパラジウムですが、今はプラチナの値段に接近しております。パラジウム需要が大幅に減っていることが予想されますが、このパラジウムの下落がプラチナの相場の伸びしろをなくしている気がしてちょっと心配しております。ただし、金相場が異常に高いこと、プラチナの工業材料としてのすぐれた性質を考えればそれほど下落することも考えられず、今年と同じようなあるレンジでの上がり下がりが1年続きそうな気がします。

最後に

長文お付き合いいただき、ありがとうございました。久しぶりに今年の地金相場の展望について書いてみましたが、私の予想は結構当たりません(^^;)。なので鵜呑みにはしないでください。ただ、ご来店されるお客様に、あまりによく質問されるのでその返事として文章にしてみました。読みずらい点なども多々あったかと思いますがご容赦ください。

※昨年末、当店ではX線を使った成分分析装置を導入しました。この機械を用いれば成分のはっきりしない貴金属も正確に分析することができます。不要な金製品、プラチナ製品などをお持ちのお客様は安心して当店をご利用ください。