日本の宝石と言えば真珠!今回は真珠についてです。
今回は、真珠の本物、偽物について説明します。日本は、美しい養殖真珠を商業ベースで成功させている数少ない真珠大国です。普段身に着ける機会というのも諸外国と比べると多いと思います。ただこの真珠というのは昔からイミテーションが非常に多いので、それを簡単に見分ける方法について今回説明します。
そもそも本物の真珠というのはどのような構造でできているのでしょうか。真珠の中心には、核と呼ばれる淡水産の大きな貝の貝殻で作られた球が入っています。この核をアコヤ貝などの母貝の中に入れて、その周りにアコヤ貝の体内(外套膜)で生成される真珠層を成長させることにより真珠は出来あがります。真珠の光沢というのは、アワビなどの貝の内側で見られる独特の光沢と同じようにしてできているわけです。
真珠のイミテーションも本物の構造を模して作られています。プラスチックやガラス、貝殻で核を作り、その周りにパールエッセンスと呼ばれる塗料を吹き付けます。この塗料を使うことで真珠独特の光沢をある程度再現することができます。核に貝殻を用いたものは、本物と同じ貝の核を持っているわけですから、重量感などもよく似た感じになってきます。これは「貝パール」の名前でそこそこの値段で売られていたりします。
本物とイミテーションを見分けるには、表面構造の違いを考える必要があります。真珠の表面は真珠層です。これは、母貝の外套膜(実際には他の貝の外套膜細胞を用いる)から分泌された炭酸カルシウムがアラゴナイトの構造で結晶化することで作られています。真珠の表面を拡大したものが下の写真です。
結晶構造が層状に幾重にも重なり、地図の等高線のような模様がみられます。少しずつゆっくりと真珠層が形成されていくのが分かると思います。一方、イミテーションで用いられるパールエッセンスの場合には、このような構造はありません。この違いが見分ける際の決め手となります。
我々が両者を見分ける場合には、ルーペを用いて表面を観察します。10倍程度のルーペでも両者の違いを識別することができます。でも、もっと簡単に判別する方法があります。珠と珠をこすり合わせるのです。本物の真珠であれば、複雑な層状の表面構造をもっているため、ひっかかりがあります。陶器と陶器をこすり合わせるような感じでしょうか。一方、イミテーションの場合はというと見事にすべります。この感覚の違いは一度試してみれば誰でも分かることと思います。ただし、本物の場合、強くやりすぎると傷をつけてしまう場合があるので、ご注意ください。