ロレックスの原点ともいえる堅牢性と機能性

熊谷質店

今回はオイスター・パーペチュアルについてのお話です

第24回 オイスター・パーペチュアル

現行のロレックスの文字盤を見ると、ほとんどの場合、「OYSTER PERPETUAL」の文字が刻まれています。「オイスター・パーペチュアル」。この言葉はもはやロレックスの代名詞的な言葉でもありますから、ロレックスをお持ちの方は皆さんご存知かもしれません。今回はオイスター・パーペチュアルについてのお話です。

オイスター

オイスターとは、ロレックス社のほとんどの時計で使われている「オイスター・ケース」を指します。このケースは1926年にイギリスのオイスター社が開発し、ロレックスが実用化した非常に防水性能が高いケースです。当時の時計のケースは複数のパーツを組み合わせて作っていたため、防水性、堅牢性の面で問題がありました。オイスター・ケースは無垢の金属塊をくりぬいて作る完全一体型のケースであるため継ぎ目がなく、高い防水性能を得ることができたわけです。

オイスター 
ロレックス、「オイスター」
(世界初の防水時計ともいわれる)

パーペチュアル

パーペチュアルとは直訳すれば「永久の」という意味になります。オイスター・パーペチュアルでいうパーペチュアルとは、ぜんまいを手で巻かなくても時計が永久に止まらない、つまり今で言う自動巻き機構のことを指します。現在では当たり前になっているローターによる自動巻きのメカニズムですが、これを1931年、世界で初めて実用化したのがロレックスです。この発明と密閉性の高いオイスター・ケースを組み合わせることでさらに防水時計としての実用性が増すことになります。というのも、手でぜんまいを巻き上げなくてよいので、竜頭をずっとロックしたままにできるため防水性・防塵性が損なわれませんし、巻き上げ後に竜頭のロックをし忘れるなどということも起こりずらくなるからです。

パーペチュアル 
パーペチュアル(自動巻き)機構
(その後の腕時計の基礎となる)

デイト・ジャスト機構

本題からそれますが、ロレックスの発明について最後にもう1つだけ紹介します。夜の12時に一瞬にしてカレンダーが切り替わるデイト・ジャスト機構です。それまでの時計はカレンダーがついていても、その表示は数時間掛けてゆっくりと切り替わっていくものしかありませんでした。この機能も現代では特に珍しいものではありませんが、あの「パチン」と瞬時にカレンダーが切り替わる光景は、1945年当時の人を相当驚かせたでしょうね(^^;)。

ちなみに、前述したオイスター・ケース、パーペチュアル機構にこのデイト・ジャスト機構を加えた3つの技術は、ロレックスの三大発明などとも呼ばれており、その後の腕時計に大きな影響を与えました。

デイトジャスト 
デイトジャスト機構を冠名にしたロレックスの代表的モデル「デイトジャスト」
(初期型(左)と現行型YGモデル(右))

現在のオイスター・パーペチュアル

現在でもオイスター・パーペチュアル機構は、ほとんどのロレックスの時計のベースになっており、その存在がロレックスの文字盤上にも「OYSTER PERPETUAL」として刻まれております。ただし、「ロレックスのオイスター・パーペチュアル」といった場合には、機構としてのオイスター・パーペチュアルを指すのではなく、現行ロレックスの中のモデル名としての「オイスター・パーペチュアル」を指している場合があります。

ロレックスの製品には、デイトジャストやデイデイト、スポーツ系ではエクスプローラやGMTマスターなど様々なモデル名が付けられていますが、カレンダーが付いていないもっともシンプルなモデルはそのまま「オイスター・パーペチュアル」という機構名がモデル名になっています。今年のバーゼルでは、そのオイスター・パーペチュアル・シリーズから久しぶりに新たなモデルが登場しております。最後にこのニューモデルを紹介したいと思います。

従来オイスター・パーペチュアルは、ケース径が26mm(レディース)、31mm(ボーイズ)、34mm(メンズ)、36mm(大きめのメンズ)の4種類でしたが、新たに39mmが加わります。これは、大きくなった新型のエクスプローラーⅠ(Ref.214270)と同じサイズですから、かなり雰囲気が変わると思います。今は大きな時計がブームですし、これは人気が出そうですね。

Ref.114300 
バーゼルで発表されたオイスター・パーペチュアル 39mm
Ref.114300 今夏発売予定(予価54万円)

ここで昔からのロレックスファンの方には1つの疑問が起こるかもしれません。「あれ、エアキングはどうなったの?」という話です。エアキングはカレンダーなしの34mmサイズの時計で、ロレックスのメンズ時計では入門機的な位置づけで長い歴史がある時計です。ちょっと前までは、オイスター・パーペチュアルには34mmサイズはなく、エアキングは単体で存在していたのですが、いつの間にか、オイスター・パーペチュアルの34mmとして統合されていたようです。

見た目はほとんど同じですが、「AirKing」の文字が文字盤から消えるのはちょっぴりさびしい感じがしますね(^^;;)

オイスター・パーペチュアル・シリーズは時代とともに多少の変化を加えながらも、ロレックスの原点ともいえるその名前とともに、これからもロレックスの最もシンプルな時計のラインとして長く続いていくのではないでしょうか。